今やAIは業務の補助に欠かせない存在ですが、その一方で個人情報を不正に扱うリスクも高まっています。特に非エンジニアがAIツールを使いこなすには、設計段階での配慮が不可欠です。本記事では、そんなリスクを軽減するための設計ポイントを具体的に紹介します。
AIに個人情報を渡す前に、データの種類を明確にする
AIツールに個人情報を入力する際、まず「何のデータか」を明確にすることが大切です。例えば、顧客名やメールアドレスなどは「識別情報」に該当し、AIに直接入力すると不正利用の原因になる可能性があります。一方で、年齢や性別といった「属性情報」は比較的安全に扱える場合もありますが、それでもAIが特定個人を推測するリスクがあるため注意が必要です。
たとえば、ある設計会社ではAIによるプレゼン資料作成を導入しましたが、初期の段階では顧客名や部署名を含む文章をAIにそのまま入力していたため、不正アクセスのリスクが指摘されました。その後、AIに与えるデータを「識別情報なしの要約情報」に変更することで、リスクを低減することができました。
AIの出力を人間がチェックする仕組みをつくる
AIの出力は正確であるとは限りません。また、意図せずに個人情報が含まれていたり、不適切な表現が含まれていたりする場合もあります。こうしたリスクを防ぐためには、AIの出力を人間がチェックする「検品」のステップを設けることが重要です。
ある事務所では、AIで作成した契約書案の文面を、担当者が文書作成の担当者と協力して確認するチェックリストを用意しました。これにより、個人情報や不適切な表現が含まれていないことを確認できるようになり、顧客からの信頼も向上しました。
AIツールの利用を「最小限のデータで」行う
AIに供給するデータは「必要な最小限」にとどめるべきです。たとえば、顧客名や住所といった個人情報をAIに直接入力するのではなく、代わりに「顧客ID」のような匿名化された番号を使う方法もあります。
具体的には、AIツールのプロンプトに以下のように書くことで、個人情報を避けて業務を進めることができます。
以下の顧客IDをもとに、顧客の傾向を分析してください。顧客名や住所は記載不要です。
顧客ID: 123456
このように、AIに与える情報を「個人情報ではない」形式に変換することで、リスクを抑えることができます。
よくある誤解
「AIは個人情報を自動で匿名化できる」と勘違いしている人がいます。しかし現実には、AIが自動で匿名化できるのは限られたケースだけで、ほとんどの場合、人間の介入が必要です。AIツールの設定や利用条件をよく確認し、匿名化の方法が明確なものを選ぶ必要があります。
まとめ
- AIに渡すデータを「何の情報か」明確にして、不必要な個人情報を避ける
- AIの出力は人間がチェックする仕組みを必ず設ける
- AIに与える情報を「必要な最小限」に抑えるようにする
よくある質問
Q1: AIに個人情報を入力しても大丈夫ですか?
A1: すべてのAIが個人情報を安全に扱えるとは限りません。利用するAIツールが「個人情報保護の設定」や「匿名化機能」を備えているかを確認し、必要に応じて自社内で検品のプロセスを設けることが望ましいです。
Q2: AIのプロンプトに個人情報をうっかり入れてしまいました。どうすればいいですか?
A2: もし個人情報を誤ってAIに送信してしまった場合は、そのAIサービスの利用規約を確認し、個人情報の削除や停止の手順を早急に実施してください。また、内部で情報漏えいの可能性がある場合、適切な対応が必要です。
Q3: AIツールの利用を社内で統制できますか?
A3: はい、AIツールの利用を統制するためには、社内で「AI利用ガイドライン」を策定し、誰がどのAIツールを使って良いのか、どのような個人情報を扱って良いのかを明確にすることが有効です。